( Photo by Duncan Rawlinson - Duncan.co )
これからしばらくSubstack というプラットフォームで書いてみることにしました。
Substack とnoteやMediumなどのプラットフォームとの最も大きな違いは "立て付けが メールニュースであること" ではなく、"メディア同士の横のつながりがないこと" だと感じています。
Substack Blogで中の人はこのように表現しています。
Today, Substack publications are like islands on their own, with little communication between each.
2010年代以降、プラットフォームを自認するCGM/ソーシャルメディアにおいて、ユーザーのモチベーション維持のために、コミュニティの連帯感を燃料にすることはあたりまえのお作法でした。また、そうなるとユーザー獲得のため以上に、コミュニティメンバーの帰属心を維持するためにプラットフォーム自体のブランディングもセットになります。(例えば、メディアのロゴよりもプラットフォームのロゴが上位にあったり)
いまのところのSubstackにはそういう作用が一切仕組まれていません。
メディアの主宰である自分がいて、フォロワーである購読者がいて、その外側はただのインターネットなのです。
以下のような購読者と自分の間のインタラクションだけがそこにあるので(少なくとも島の中は)とても静か。
購読開始/解除
購読者によるLike
購読者による記事コメント
同じSubstackを使っていても隣のメディアと自分のメディアは海に浮かぶ「島」のように独立しています。
この静けさを実に心地よく感じれば感じるほど、ユーザーコミュニティ内のインタラクションを起こさんとする"鼻息の粗いプラットフォームとそこのコミュニティ"がしんどく見えてきました。
noteユーザーに目を引くタイトルを付けてnoteの中に放流して見知らぬnoteユーザーからイイネのハートが付いたりフォローされたりすることに一喜一憂する意味ってなんだっけ?公開して1週間ほどプラットフォームのからくりでアクセスされるために、自分はインターネットの海に情報を公開してたんだっけ?
Substackでは、購読者はそのメディアのみに対してメールアドレスを登録します。読者は(url以外では)Substackというプラットフォームを意識することはまずありません。(一方でメディアに対しては生のメアドを渡すのでそれなりの帰属心(≒ハードル)を必要とします。)
Substackも当然のように配信された記事はオープンなpermalink を持っているので、インターネット全体の開かれた仕組みの中で自由に平等にフィードバックを受ける事が可能です。(ちなみにSubstack はデータポータビリティにも完全対応しています)
いちメディア(発信者)に関心をいだいてくれる購読者には、メールでいち早くメッセージを届けて双方向の議論ができる環境があり、インターネットの海に漂流した情報としていつかだれかの目に止まってくれる可能性も担保しています。
それが今の自分の気分に合っているのでした。
大きな波はめったに来ないけどさざなみが心地よい入江のような場所。
そんな小さな島が無数に浮かんでいる海。
プラットフォームのエゴとつながりの誘惑を削ぎ落としたパーソナルメディア。
ここからバズやトレンドは生まれませんが、どんなニッチな情報でも個人的な思いつきでも、遠慮なく気持ちよく発信を続けることができそうです。
・・・なんだか、新しい概念を見つけた気分になりますが、つまるところソーシャルグラフ前夜のwordpress や Movabletype とそれほど変わらない気もするし、単純に年をとっただけなのかもしれないし。ただ、それが若い世代にとって新鮮な理由なのかもしれない。
結局の所棲み分けと使い分けで、自分の外の物差しとマスに届けることを大事にしている用途では賑やかなプラットフォームを選べばよいし、自然体のマイペースで書き続けることと自分の価値観に近い小さな円内でのインタラクションを大事にする場合には Substackのような静かなプラットフォームを選べばよいのでしょう。
なぜネットで書くのか、なぜネットで発信するのか、その前提に沿ってプラットフォームを選べば、あたり前だと思っていた作法が変わってきるかも。
メッセージはめっちゃ長くてもいいかもしれない
メッセージは語り(音声)のほうがいいかもしれない
PVやアウトリーチのKPIは無視してもいいかもしれない
Substack は黒子に徹して静かなパーソナルメディアを実現してくれるところが気に入っています。
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