こんにちは。夏休みを挟んで20日ぶりのニュースレターですね。
今号はテキストとポッドキャスト、どちらでも楽しめるハイブリッド版でお届けしてみます。お好みの方法でどうぞ、最後までお付き合いください😌
📌 今号のトピック
今年のハイプサイクルはここ数年で最高の仕上がり?🎢
ワークスタイルの揺り戻しがやってきた!👔
初めての三陸・陸前高田を訪れて 🏝️
🎢 今年のハイプサイクルはここ数年で最高の仕上がり?
2023年版のガートナーのハイプサイクルが発表されましたね。
🔗 生成AIは「過度な期待のピーク」、Web3は幻滅期 23年版ハイプサイクル - Impress Watch
Web3やNFTが幻滅期にあるというのはさもありなん、という感じです。
対して生成AIは過度な期待のピークに置かれていて、これから幻滅期は来るの?という疑問もありますが、使っている人々が慣れて驚きが少なくなり、結局promptチューニングにも専門性がいるとか、根気強さがいるとかっていうことが広まるにつれて、期待とのギャップが弾けるときが来るのでしょうか。
誤解してはいけないのは、ハイプサイクル上の幻滅期はどんなテクノロジーも社会実装されるまでに必ず通る道として描かれています。個々にプロットされた技術が失敗だったとか終わりだというわけではありません。
ちなみに、ガートナーのハイプサイクルには、USグローバル版と日本版という2つのエディションがあったのをご存知でしょうか?
🔗 米ガートナー「先進テクノロジーのハイプサイクル2023年」を発表。GitOpsは黎明期、生成的AIとクラウドネイティブは過度な期待のピーク - Publickey
US版のハイプサイクルでは「幻滅期」「啓発期」「生産性の安定期」に特定の技術名が記載されていません。これは、米ガートナーがピークを過ぎた技術には焦点を当てない方針であると考えられています。スタートアップカルチャーが強いアメリカらしい傾向ですよね。一方で、日本版のハイプ・サイクルは幻滅期の技術にも注目が集まるように作られており、これは日本らしいとも言えるでしょうか。
👔 ワークスタイルの揺り戻しがやってきた!
働き方に関して、このようなタイトルの記事が各メディアから発信されています。
🔗 ウェブ会議「Zoom」、従業員にオフィス勤務を指示 - BBCニュース
🔗 米国人の「出社嫌い」突出 在宅勤務が定着、経済を圧迫(時事通信)
🔗 完全リモートワーク、生産性でオフィス勤務に18%劣る-米大学の研究 - Bloomberg
こうして眺めると、なんとなく世の中の論調をオフィスに戻す方向に肩入れする記事が多い印象。特に経営者層がこういう情報に触れることによって、もう会社に出社する働き方に戻してOKなんだ、という材料にされてしまいそうです。
こういった空気の中で自分みたいな、いや自分以上にラディカルなリモートワーク推進派が声を上げています。
中でも地方のスタートアップ企業は、都会のオフィスじゃなくても生産性とクリエイティビティを発揮した良い仕事ができるっていうこと、それ自体がアイデンティティだったりプライドだったりするので、再び出勤が当たり前になる社会に戻ることに反対し、例えそうなったとしても自分たちは生存戦略としてリモートワークはやめない、と言っています。
個人的には、どちら側にしても、生産性だけを基準に従業員にどちらかの働き方だけを強制をすることには反対です。そこはイチ・ゼロではなくて、同じ会社の中にオフィスで働くのが好きな人もいれば、リモートが性に合っている人もいて、両方の働き方を尊重・理解しながら会社が回っていく方が長い目で見たら、従業員の心理的安全性や会社への帰属意識は高まり、その会社とカルチャーは健やかに維持・成長されていくのではないかと思います。
僕ら会社員にとって会社の仕事とは人生の全部ではなく、あるときの一部でしかありません。会社員が決められた場所と時間に集まって働くことはつい最近、平成までは当たり前でしたが、その価値観はかわりました。合理的な必要な理由なしに、従業員の生活にあれこれ制限をつける会社は(長期にわたり帰属する勤務先としての)人気は下がっていくでしょう。
🏝️ 初めての三陸・陸前高田を訪れて
先日陸前高田を旅してきまして、最初に行ったのが、東日本大震災津波伝承館と道の駅が一体化したすごく大きな建物と、高さ12メートル、全長2キロの防波堤がある高田松原津波復興祈念公園という場所でした。
🔗 道の駅高田松原
広大なエリアに巨大な堤防があって、その先に海があるんだけど見えない。その被害の大きさを物語るかのようなすごく何もない、ほとんど芝生だけの場所に変わっていて、それがとにかく巨大で広大で静謐な雰囲気で、人間の存在が小さくちっぽけに感じ、インパクトを受けました。
巨大な防波堤と過去の災禍を忘れじとさせる公園からは、そういったものを建立することで何とか人力で次の自然災害は人間が勝ってみせるんだ、打ち勝つんだ、日本人の英知を尽くして巨大な防波堤を建てて今度は防ぐんだ、みたいな意志の強さを感じました。
そして一方でやっぱり人間っていうのは、太古の昔から大きなハコ物、建造物を作るっていうものに対して執着心がある生き物なんだなっていうことも。
陸前高田市内にはいくつかの、著名な建築家が手掛けた復興のランドマークが点在していて、これら一連の建造物が計画通り完成したのが2021年、つい最近ということです。
東日本大震災津波伝承館はとても良かったです。網羅的・時系列的に、三陸海岸沿岸地域のそれぞれの各地域ごとに違った被害と、その後の復興の違いを見ることができました。改めてこの東日本大震災がどういうものであったかというのと、そこから各地域がどうやって変わってきたか、変えようとしてきたかのコントラストその理解を短時間で深めることができました。
また、被害があった時の様子をそのまま残された建造物、これらから往時の生活の営みに思いを馳せることもできました。
🔗 碑の記憶 | 中心市街地襲った波 (陸前高田市高田町・米沢商会ビル)
復興のこれからについては、このような社説も見つかりました。
🔗 震災10年:検証なきインフラ投資、人材不足招く 復興に重い課題 | ロイター
🔗 東日本大震災から12年 津波被害の陸前高田市 「復興ツーリズム」で伝えたい震災の記憶と町の魅力(Sデジオリジナル記事) | 山陰中央新報デジタル
津波被害があった東北の沿岸地も、他聞にもれず同時に少子化、高齢化という問題も抱えているわけで、大きな12メートルの防波堤を作りきった一方で、そういった社会問題も進んでいること、これからやるべきことがたくさんあることを指摘し、いま課題に取り組んでいる人たちを紹介している記事です。
関係人口という言葉が出てきたのも震災以降。少子高齢化対策が移住促進一辺倒では、地域同士でパイを取り合うだけ。持続可能な街の開発っていうのはハードや住環境だけではなくて、産業を育てたり、教育・研究機関を誘致したり、スタートアップや国際プロジェクトと関わりを作ったりとか、そういうことに舵を切っていくんだ、というニュースを見て、長い復興の第二章がやっと始まるんだな、と感じました。
この旅行では、陸前高田を中心に周って、あとは大船渡の復興建築をちょっと見たぐらいでなのですが、もっと三陸のいろんな地域の開発と今を見てみたいと思いました。
おまけ
こちらは、陸前高田市以外の地域はほとんど回れなかった中で、かろうじて楽しめた釜石ラーメンです。
特徴である「極細の縮れ麺」は、古くからの鉄鋼と漁業の街でお客さんを待たせないための工夫から生まれたのだとか。細麺で喉越しも良いから油断して食べ始めたらなかなかの麺量でお腹いっぱいになりました。透き通ったあっさり優しい醤油ラーメンは今のラーメントレンドにもピッタリ。クラフトビールで二日酔いの胃にうれしい一杯でした。
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