とうとう、北陸新幹線が金沢から福井県(敦賀駅)まで延伸しましたね。
僕が少年時代を過ごした福井では、ちょっとした、どころではないお祭りになっています。
「福井新聞」トレンドに 北陸新幹線1番列車発車を各駅で号外速報「もはや実況」「落ち着いて」 - 社会 : 日刊スポーツ
かつて「裏日本」と呼ばれたひとつの県に新幹線が通ったことは、野球選手の結婚に比べれば取るに足らないニュースかもしれませんが、出身者にとっては人生で何度もない明るいイベント。
(普段新幹線には乗らないであろう)地元の人たちの笑顔や、すっかり垢抜けてしまった駅前の様子を見て、それほど遠くはないのだからカメラを持って駆けつけるべきだったと少し後悔。
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さて、こういった昭和の時代に計画されたハコモノ投資には批判がつきものですが、敦賀までの延伸については去年ざっと調べてみた結果、僕自身はポジティブなスタンスを持てるようになりました。
一方で関西目線では、たった20分程度の時間短縮と引き換えに、トータル運賃が値上がりした上に直通ではなくなり、その乗り換えも面倒なことなどへのツッコミ記事も、歓迎記事と同じくらいシェアされています。
新幹線延伸で関西・名古屋から北陸へは「敦賀乗り換え」必要に…専門家「高速バスに流れる恐れも」 : 読売新聞
そんな中、僕の目を惹いた記事はまさかのITメディア、インプレスの記事です。
福井に新幹線が!! 出身者4名の「福井に新幹線が来るということ」 - Impress Watch
この記事の裏テーマは福井出身記者たちの「帰郷にまつわる思い出」。
「帰りの米原の乗り換えが寂しい」
(中略)
ある人は「どうしても我慢できなくて」と東京出張を飛行機に切り替えたことを打ち明けました。けれども私にとっては、この在来線ホームがふるさとの入り口に思え、親しみを感じていました。
なんだか暗い駅のホームの写真も、らしいですよね。
一方で、これから福井県の露出が増えていけば、東京の人々から見た時に、もしかすると、まだ洗練されていない一面が見えてきたり、ちょっと浮かれた行動や発言をする人が出てきたりするかもしれません。
私が東京へ出てきた数十年前は「同年代でも、なんて大人で、考え方や立ち振る舞いのスマートな人が多いんだろう」と圧倒された経験が多かったのを覚えています。
都会に出てくると、地元とのギャップが大きすぎてこういう心配しがちですよね。
タイパやコスパではない物差しで見た「変わってしまう里帰り」への切ない感情。
進学や就職を機会に福井を離れて人生の半分以上を都会で暮らすようになった境遇が近い方々によるエッセイに、自分自身の人生を投影してなんだか切ない気持ちになったのです。
帰郷してもいつも一泊で京都に戻ることが多い自分にとっては、JR北陸線(特急雷鳥、サンダーバード、たまに在来線の乗り継ぎ)で福井に向かう車中で過ごす時間こそが、ふるさとと向かい合っている体験であった気がします。
そんな感傷のとどめとなったのが Twitterで見つけた「最後のサンダーバード号」の車内放送。
https://twitter.com/zzzkita/status/1768575423250927990
(文字起こし)
本日をもちまして、このサンダーバード号は、金沢駅から敦賀駅までの運行を終了いたします。
サンダーバード号は、前身となります雷鳥号が走り始めてから、約60年間大変多くのお客様にご利用いただきました。
運転を終了いたします金沢・敦賀駅区間では、日本海・白山の雄大な自然や田園風景、手取川、九頭竜川といった、風光明媚な車窓で、私たちを楽しませてくれました。
しかし時には、日本海からの強い風、大雪といった厳しい天候の中を走ることもあり、車内でお客様と一晩を過ごすこともありました。運転を見合わせている中で私たちに励ましの言葉をかけてくださったことは、忘れることはありません。
また、新型コロナ感染症の影響で、お客様が一人もご乗車されない時期や、今年の能登半島地震により、北陸に足を運んでいただくことが難しい時期もございましたが、また多くのお客様が北陸に来ていただけることを願い、サンダーバード号が走り続けてまいりました。
そして本日、このように、大変多くのお客様にご乗車いただき、北陸とサンダーバード号がみなさまに愛されておりますことを、改めて実感しております。
明日、3月16日のダイヤ改正で、特急サンダーバード号は、敦賀駅からは羽を休め、新幹線かがやき号・はくたか号・つるぎ号にバトンを渡します。
これからもサンダーバード号と北陸新幹線で、北陸の未来を切り開くために、はばたき、かがやき続けます。
明日以降も、新たに生まれ変わったサンダーバード号と北陸新幹線をどうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
僕たちの思いが詰まった路線は、発展を願う未来への希望・新幹線のために上書き更新されました。
特急雷鳥やサンダーバードの車体はいつか博物館にうやうやしく飾られるかもしれませんが、都会から故郷に着くまでの車窓や車内の匂い、そこで思索にくれた「ふるさとに帰る」ことの記憶は、自分の中に居場所を作って残して置かないと。
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ということで。
福井県とJRが公式に、しっかり予算かけてイケてる制作チームが作ったメイキング動画の中で「北陸新幹線に乗って〜♪」と朗らかに歌われているのをみて、僕も詠ってみたくなりました。
演奏も歌もきわめてラフですが、そこも含めてご笑覧ください😌