— 2022年5月の自分
「やあ、最近ようやく Crypto を始めたんだって?」
— 2021年11月の自分
『うん。でも、ほんのちょっとやで。ビットコインよりイーサがいいんやんな。NFTやるには。取引所のアプリ入れたら相場の動きが日々変わるのが気になってしかたないわ~』
「で、そのEthereumで何を買ったの?」
『まだ何も買ってへんw スタートアップの友人とかポッドキャストでNFTやダオ?の話題が多くなってきてそろそろやらなきゃと。メタマスク?でウォレット作るところまではしたんやけど、その友人のプロダクトもまだ開発中やし。オープンシーを眺めてても、これが未来や!という匂いはするけど、特定のNFTを買うモチベーションがぜんぜん湧いてこーへんねん。』
「だったら、いま急いでNFTアートを買ったりしなくていいよ。あと、仮想通貨のチャート変動に一喜一憂するのも時間のムダ。もっと違うことに時間を使いなって。」
『でも、みんなやってるぽいやん。』
「みんながやっている、始めているみたいに見えるけど、アメリカのMETAMASKのアカウントが3000万でMAUが900万人(人口の2.7%)っていう段階だから」
『(これ絶対だれかの受け売りやな。。)せやけどここまで手順を踏んどいて何も買わへんのも中途半端やん。流行りの Play to Earn ってやつ?歩くと儲かるやつとかポケモンみたいなやつとかはあんまり惹かれへんねんけど、サッカーの sorare.com は面白そうやから選手のカードを買ってみようと思ってるねん』
「それも、すぐに飽きるって。そもそも君はソシャゲとかも一切興味なかったんだから。あと、これは僕も最近わかったことなんだけど sorare で競り落としたカードをOpenSeaのコレクションに移行するにはmintする必要あってらかなりのガス代が・・」
『出た~ガス代!Yuto Nagatomo カードは安いから買えるなと狙ってたのに意味ないやん><』
「もっと君がほしいと思える意味のあるNFTに出会ってからでいいのでは」
『たしかに情報に踊らされている感覚もあるねん。にわかに「Web3.0」って言われてるやん?それでウェブ大好きおじさんとしては、遅れを取るわけにはいかん!と思ってるんやけど、期待する声と同じくらい、投機的なものとして批判する声も大きいやん。そっちは今どうなん?Web3.0 は今より盛り上がってるん?』
「Web3.0じゃなくてWeb3ね。ウェッブスリー。投機目的と隣り合わせなこと対する嫌悪感については、最近自分なりの納得行く理解ができたから教えてあげるよ。
どんなWeb3のプロジェクトでも、いつかは換金できうるトークンの所有を介する以上、投機的な動機やカラクリとは地続きにある。」
『やっぱそうなんやんな。。』
「でも、トークンエコノミーを燃料に動いているWeb3は、Web2.0アプリにはつきもの「広告モデル」が支配する世界ではない。君が忌み嫌っているアド。」
『最初は別に忌み嫌ってなかったんやけど。CGMにディスプレイ広告が跋扈しはじめて、きれいな顔してるメディアがきれいとは言えないコンテンツでがっぽ(以下自粛)・・を知った頃からかな。で、いつまでこんな広告モデルに俺たちのインターネッツは支配されるんだ!と憤慨してた時期もあったなあ(遠い目)』
「Web3 は広告モデル依存じゃないから、スクリーンビューを嵩増しする必要はないし、貪欲にユーザーの個人情報や行動情報をこっそり貯めまくってネットワーク化する必要もない。運営側は(詐欺的構造に成り果てないように)ユーザーの「ご利益」を継続して創ることにフォーカスできる。あと、ユーザーもステークホルダーなんだから、どうにかこうにか騙してなんとかするダークパターンも悪手だよね。」
「なるほど、Web2.0 の残念な現状を変えてくれそうな期待が、Web3の孕む危うさを上回ったということやな。君の場合は。」
「フリーミアムなので財布は傷まないけど情報を汚染されて個人情報を引っこ抜かれることを避けられないWeb2.0、トークンベースで良くも悪くも自己責任だからリテラシーが足りないと誰かさんの養分になりかねないWeb3、どっちがマシな未来だと思う?」
『だったら俺もWeb3かなあ』
「とはいえ、どちらかを選んでどちらかを切り捨てるものではなくって、今もWeb1.0 の email やAmazon.com が残っているようにWeb3的なサービスやプロジェクトが増えてもWeb2.0的なサービスやビジネスがなくなるわけじゃない。ブロックチェーンをベースにしたルールに則った新興の経済やコミュニティが新たに重なってくる感じ。
そんなWeb3に意志を持ってずっと近寄らない人も多いだろうね。少なくとも、スマホによってガラケーがほぼ駆逐された、みたいなことにはならないかと。」
『Web2.0 も12年前はピュアでキラキラして見えたんやけどな~。で、2022年の君はすでに意味のあるNFTを見つけてるん?』
「まだ、自分なりのNFTとの付き合い方がやっと最近わかってきたところ。具体的にはトークンベースのコミュニティやメディアの可能性を教えてもらって夢が広がりんぐ、な感じ」
『12年ぶり2度目の夢が広がりんぐ、出たw』
「ファーストユーザーになれて未公開の機能が使えるとか、とある貢献が可視化されるとか、とあるイベントにいたことがブロックチェーンで証明されるとか、組織上の役割(ロール)が付与されるとか、そういうユーティリティが巧く紐付いているNFTがあって、自分のウォレットに接続する別々のWeb3アプリやツールが、そのNFTを参照して見事に連携して動くさまを見て、これは実にエレガントで発展的だな〜と感動した。
機能に価値や意味を見出して手に入れたNFTにとっては、市場価格の上下は副次的なものだから、本来のブロックチェーンのきれいな使い方が生かされてる気がする。」
『ふ~ん。それは実際に見て体験した人の感想やな。でも、ミントとかコネクトとかトランスファーとか、わからん!めんどくさい!と思う人の方が多そうな印象。web3って複雑でユーザーフレンドリーとちゃうやん。』
「decenterlizedなのと手続きが多いこととは表裏一体だから、これがめんどくさい人はオールインワンのWeb2.0プラットフォームをご利用ください、ということになるんだろうね。いまのところ。 これは予想だけど、ウォレットのようなWeb3的な作法の一部は、Web2.0的非ブロックチェーン上のサービスにも採用されることになるんじゃないかなあ。思想は違うんだけど長い目で見るとUIは寄ってくると思う。」
『あえて冷めたこと言うけど、好奇心とモチベーションだけ参加するメディアやコミュニティは長続きせえへんのとちゃう?うちら飽きっぽいし』
「単なるエンタメや趣味だとハマる人もいれば、僕たちのようにそうでない人もいるだろうね。だけど、生活の根幹である衣食住や労働に関するコミュニティやプロジェクトだとどうだろう?たしか、半年前の君は副業探しを続けていたよね?」
『うん。今の「お仕事」は満足しているしありがたいことにお給料も足りているんやけど、自分の能力をすべて使えて好奇心が満たせているかというとそうでもなくって、だから「お仕事」以外にも関われるプロジェクトは常に探している感じ。お金が目的じゃないから「副業」って言葉は好きちゃうんやけど』
「その君のめんどくさい労働観を解決できるかもしれないのがDAOでのプロジェクトかと思ってる。」
※DAO(Decentralized Autonomous Organization):「分散型自律組織」。ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営される組織
『そうか、DAOは多くのメンバーがプロジェクトベースでの参加やろし、会社会社したところがないからスピード感や柔軟性があるし、すでに真面目な「お仕事」を持っている自分たち向けの貢献形態かもしれない』
「そう。そこが自分ごととしてのWeb3の最大の期待、といまは思ってる」
『じゃあ、副業改め、DAOプロジェクトが見つかったってこと?』
「まだママゴトや素振りを始めたという感じ。でもこの感じは、遠いWeb1.0の時代に独学でHTMLとかFTPとかCGIを覚えて、友人たちとホームページを作成して競い合ってた頃の感覚に近くて純粋に楽しい。あの頃と比べてCryptoとガス代の原資はちょっとかかってるけど、まあそれは大人だからw」
『じゃあ、君のいまいまの目標はなんなん?』
「感覚的にはWeb3を把握できるようになってきたけど、テクニカルタームを正しく使ってちゃんと人に説明できるようにするために手を動かして勉強しなきゃ、と思ってる。自分も人に教えてもらいながらわかってきたから、今度は自分が教える側になりたい。いま君に話しているのもその練習、というわけ」
『わかりやすさなら、日本でもちょいちょい出てきてるNFTマーケットやファントークンのアプリを例に出したらいいんちゃう?』
「う~ん。日本のWeb3サービスって、同じ技術を使っているはずなのに、なんか全然触感が違うんだよねえ。自分の観測範囲では。わかりやすいけどこじんまりまとまっていて広がりが想像できない。これを使ってWeb3の楽しさを伝えられる気が全くしないw」
「それはジブンが昔から海外かぶれやからちゃう?音楽もサッカーも」
「まあ、日本だから海外だからは関係なく、お馴染みの企業や起業家ではない、新しいプレイヤーのWeb3プロダクトに驚かさせてほしいなあ。どうせ社会実装されて普及するのはもう少し先だろうから、ニッチな実験に立ち会いたいなー」
「じゃあ、2021年の俺は何をしていたらええと思う?」
「WebディレクターらしくGA4(Googleアナリティクス4)の習得かな。いま、ユニバーサルアナリティクスが2023年で終わるとかで、日本のWeb業界は大騒ぎだよ。」
「めっちゃWeb2.0のプラットフォーマーに踊らされてるやん!」
「僕たちの想像上のWeb3はいつ来るのかまだわからない。おじさんたちは世渡り上手にならないと生き残っていけないんすよ。」
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NFTアートはNFTの可能性のすべてではない | siteSakamoto